大学進学を前提とした場合、その合否の基準は総合点のため、苦手な科目が無い方が良い結果になります。
例えば、英語は100点満点でその他は50点という人よりも、すべての科目で80点の人の方が、合格する可能性が高くなります。
ところが、全ての科目が良くできるという人は非常に稀で。ほとんどの人は、苦手な科目が1つや2つあります。
多くの塾では、その対策のために、、、
●勉強時間の確保
●勉強方法の改善
●学習計画の立案
●指導強化
など、苦手な科目の学習を今まで以上にやらせることで、苦手を克服させようとします。
もちろん、何らかの知識や能力を強化する場合、上記の方法は必ず必要になりますが、
苦手なものに関しては、同じやり方では、あまり効果がありません。むしろ、苦手意識をより強くする場合もあります。
それは、苦手になってしまった原因を対策せずに、表面的な対策を行っているからです。
ビジネスにおいても、売上が落ちた時に、その本当の原因を探り対策せずに、「売上を上げろ!」と激を飛ばすことが行われていますが、そのようなやり方では、当然、営業成績は伸びません。
実社会では、存亡にかかわりますので、表面上の対策を推進するのではなく、問題の原因究明と対策を行う企業だけが生き残っていきます。
苦手科目の克服も同じで、
勉強ができないから、「勉強をもっとやれ!」というような対策では、苦手科目の対策としては効果がありません。
ところが、多くの塾では、そのやり方が横行しており、セールスポイントにまでなっているのが現状です。
では、苦手科目をより効果的に、より確実に克服するためには、どうしたらよいのでしょう。
苦手科目を、より効果的に、より確実に克服するためには、表面上の対策を推進するのではなく、苦手になったの本質的な原因究明と対策を行う必要があります。
苦手の本質的な原因は、「メンタルブロック」です。
そのメンタルブロックを解消せずに、苦手科目の成績を上げることは大変、難しくなります。
苦手意識
心理学者のカール・ユングは、人間の深層心理にシャドウ(影)という元型があることを提唱しています。
シャドウとは、「〇〇であってはいけない」というコア・ビリーフ(核となる信念)のことで、
例えば、「勉強ができないことはよくない」とか「苦手な科目があってはいけない」という硬い信念です。
ある程度は、誰しもそのような思いを持ちますが、
深層心理にコア・ビリーフとして深く刻み込まれた場合、
本人が気づかずに、その状態の自分や他人に、そして、対象となるもの(勉強とかある特定の科目など)に過度な「嫌悪感」を持つようになります。
シャドウは主に、幼少期~学童期に深層心理に書き込まれると言われています。
苦手が出来あがるプロセス
先に説明したシャドウが学習に対して出来上がるとそれが、学習の苦手意識(メンタル・ブロック)になり、そのメンタル・ブロックのある科目もしくは学習全般が、「苦手」という状態です。
上図のように。苦手科目が出来上がります。
嫌なことがあった
まずは、対象となる科目や学習全般に対して嫌な経験をします。
最初は、ささいなことかもしれません。
・先生から質問されて答えることができなかった。
・テストの結果が悪かった。
・やらなくてはいけない宿題をしなかった。
などで、ちょっと嫌な思いをした。
さらに、テストの結果が悪かった、とか、勉強(宿題)をしなかった、ことで
・親や先生から、叱られた、文句を言われた。
それが原因で、
・親と言い争った。
・親と喧嘩した。
もしくは、
・先生が嫌いになった。(もともと先生が嫌いという場合もあります。)
避けるようになる
嫌なものは遠ざけるというのが人間の本能ですので、
特に合理的な判断が難しい幼少期は、簡単にその科目や学習そのものを避けるようになます。
ますます、授業についていけなくなる
結果として、授業についていけなくなり、ついていけない自分に対して、無力感や無能感を持ち、
そんな自分を認めたくないので、対象に対して、強い嫌悪感を持つようになります。
苦手の完成
これで、苦手意識や苦手科目の完成です。
苦手科目の対策の見直し
以上のようなプロセスで、苦手意識が出来上がるため、
多くの塾で行われている対策
●勉強時間の確保
●勉強方法の改善
●学習計画の立案
●指導強化
を行っても、あまり効果がありません。
むしろ、苦手意識をより強化することもあります。
(もちろん、もともと向上心や競争心が強い人は、苦手意識を吹き飛ばす強いモチベーションを持っていますので、上記の対策が有効な場合があります。ただし、人間や世の中の進化(平和な世界とか競争がない世の中へ向かおうとする意識の進化)とともに、平均的に人間のハングリー精神や競争心が薄れてきているので、苦手対策としてこれらの対策は有効ではなくなりつつあるようです。)
これらの対策が無意味だと言っているのはありません。
学習においてはいまだに必要な行為です。
ただし、これらの対策を行う前に、
まずは、
苦手意識(メンタルブロック)の解消が必要なのです。
苦手意識(メンタルブロック)の解消方法
メンタルブロックの正体をあぶり出す
勉強に支障がでた出来事を思い浮かべて、
何がメンタルブロックなのかをあぶり出します。
本来のやろうとするモチベーションを損なう「思い込み」の正体を突き止める、と考えても大丈夫です。
例えば、
「英単語を覚える気持ちはあっても、自分は記憶力も良くないし、集中力もないから、どうせ、たいして記憶できないので、ゲームに逃げてしまう。」
この例におけるメンタルブロックは、「記憶力が良くない」とか「集中力がない」です。
このように
「自分の心が強く思い込んでいるマイナスの自己イメージ=メンタルブロック」だと考えてあぶり出してください。
メンタルブロックが生まれた原因を探る
次に、メンタルブロックが生まれた理由探しです。
上の例では、「記憶力が良くない」「集中力がない」がメンタルブロックの正体だとわかりました。
では、なぜそう思うのか?と問いただしてみてください。
親や先生からの指摘か?
あるいは、単語テストで悪い点を取ってしまったせいか?
過去の記憶をさかのぼり、自分自身の経験をもとに、メンタルブロックが生まれた理由を探ってください。
メンタルブロックを少しずつ外していく
メンタルブロックを少しずつ外していきます。
潜在意識に書き込まれたメンタルブロックは簡単には解消されません。
・物事を肯定的に解釈する
「記憶力が良くない」「集中力がない」という解釈を、
「記憶は誰でも大変なことだから、自分だけが記憶できないわけではない。何回も繰り返せば記憶できる。」
とか、
「ゲームとか好きなことにには集中力があるのだから、集中力がないわけではない。どうやったらゲームに対する集中力を英単語を記憶することに発揮できるか考えてみよう」
とかに変えてみる
・ポジティブな発言を心がける
「記憶力が良くない」「集中力がない」というネガティブな発言をやめる。
上手くできなくても、
「少しずつでも良くなっている」とか、
「いづれはできるようになる」
というポジティブな発言に変えていく。
・できている人の考え方や習慣を真似てみる
周りにいる「記憶力が良い」「集中力がある」人の考え方、物事のとらえ方、言葉や行為を観察し、良いと思うものは、自分の言動にとりいれる。
などを意識して実践すれば、メンタルブロックは徐々に外れていきます。
メンタルブロックが解消されたかどうかの確認
対象となるメンタルブロックが解消されたかどうかは、態度や習慣の変化で確認できます。
英単語の記憶の例では、
以前:英単語を記憶しようを思ったら憂うつな気分になり、ゲームに逃げる
現在:英単語を記憶することに意欲を見出し、時間を忘れて没頭しているときがある
このように、以前と現在を比べて態度や習慣が変わっていたら、
それはメンタルブロックが外れたという証拠です。
態度や習慣に変化がみられない方は、もう少し時間をかけてメンタルブロックを解消する必要があります。
本格的な苦手科目の対策の実施
以上のような苦手意識(メンタルブロック)の解消をまずは実践しながら、
以下の対策を行うことで、苦手科目を克服することができるようになります。
●勉強時間の確保
●勉強方法の改善
●学習計画の立案
●指導強化
メンタル・ブロックを解消する「イニシャル・コーチング」は以下を参照ください。