大学受験の勉強をはじめるときにやらなくてはいけない4つこと

大学受験の勉強を始めるにあたって、まず、実施すべきことが4つあります。

それは、

  1. 志望校の必要な学力レベルを知る
  2. 科目ごとの現時点での学力レベルを測定する
  3. 科目ごとの受験勉強のスタートポイントを決める
  4. 苦手科目に重点を置いた学習計画を立てる

ことです。
必ずしも、「大学受験の勉強」=「難しい問題を解くこと」ではありません。
場合によっては、中学レベルにまで戻らないといけない科目もあるかもしれません。

志望校の学力レベルを知る

必ず志望校を決めること

受験勉強を始めるあたって、志望校が決まっていることが前提になります。

志望校が決まっていない方は、早めに決めてください。
大学によって同じ学部学科でも試験内容や科目が違います。今後、ますます試験内容の多様化は進んでいくと予測できますので、まず、志望校を決定することが大前提です。

もちろん、志望校を決めて、その大学を調べたりオープンキャンパスに足を運び雰囲気を味わうことは、受験勉強の大きなモチベーションになりますので、その意味でも早めに決めてください。

決まっている方は、もっとその大学を調べ、その大学に入学したあとのイメージを強く持つことをお勧めします。

大学と学力レベル

下図は、大学と必要な学力レベルを示したものです。

この図では、詳細の数値を記載していませんので、以下に大まかなレベルを記述します。

中堅大上位の国公立大学や私大に必要な最低限の学力は、大学共通テストの得点率65%以上です。
大学共通テスト65%は、高校3年間で履修した内容の完成レベルです。
ここでの数値は私大の大学共通テスト利用入試の得点率とは違いますのでご注意ください。あくまで学力レベルとしての指標です。

難関大では、大学共通テストの得点率70%以上が必要になります。
難関大になると、大学共通テストの難易度以上の2次試験、一般試験が課せられるため、高校3年間の履修内容以上の学習が必要になります。

志望校の学力レベルに関しての詳細は、ネットや大学リサーチなどの資料もしくは学校で調べてください。

現状の学力レベルと志望校

受験勉強を始める時点で、志望校に必要な学力がないとダメか?
というと、そうではありません。

高校3年の夏の時点の模試でE判定(志望校の学力レベルには到達できていない判定)でも、熱意とやり方しだいで十分に可能性があります。
当塾の例では、受験の前年の12月(受験2ヵ月前)の模試でE判定でも合格した例があります。

とにかく、現時点での学力で志望校を決めないことです。

行ける大学を志望校にするのではなく、
行きたい大学を志望校に選んでください。

科目ごとの現時点での学力レベルを測定する

試験科目を調べる

志望校が決まったら、その志望校の試験科目を調べてください。

難関以上の国公立大では大学共通テストでほぼ全教科、2次試験で2教科から3教科が課せられます。
有名私大では3教科から4教科が一般的です。

各大学のホームページで「令和○○年度入試要項」というようなページに学部・学科ごとの試験科目の詳細が公表されています。

科目ごとの現時点での学力レベルを測定する

模試や学校のテストで、各科目の学力レベルを把握されているかと思いますが、
今一度、これから説明する方法で調べてみてください。

大学共通テストの過去問を解く

今年の大学共通テストの過去問を解いてください。今年の問題を解いてしまった方は、昨年の過去問でも構いません。

制限時間を気にせずにすべての問題を解いてください。
例えば、英語の記述問題は制限時間が80分ですが、120分かけてもよいですから全問題を解き切ってください。あくまで、現時点での学力レベルを測定するための演習です。
もちろん、辞書や参考書を使わずに自力で解いてください。

大学共通テスト試験問題の過去問と解答は、 大学入試センターのサイトからダウンロードできます。

大学共通テストの問題を学力レベルの測定に使う理由は、
大学共通テストは非常に標準的な問題で難問や奇問がなく、また、得点率60%が平均になるように設計された問題だからです。
もちろん、年度、教科によって、上記の設計意図通りにはなっていないときもありますが、毎年50万人が受験する試験なので、その統計データは学力レベルの測定に適しています。

採点する

採点だけしてください。解説の確認とか復習はしないでください。
数か月あとに、同じ過去問を使った方が学力レベルの推移を測定しやすいので、採点だけにしてください。

科目ごとの受験勉強スタートポイントを決める

科目ごとに上記で採点した得点率に従って受験勉強のスタートポイントを決めてください。

必ずしも、「大学受験の受験勉強」=「難しい問題を解くこと」ではありません。
科目によっては、相当、前に戻って学習し直さないといけない科目もあるかもしれませんが、そのような科目は、あせって難易度の高い受験応用問題に挑戦しても、解けないばかりか自信も失いかねませんので、
冷静になって、科目ごとに受験勉強のスタートポイントを決めてください。

下表は、中学・高校の6年間履修する、国語、英語、数学の得点率と受験勉強スタートポイントを示したものです。
社会や理科の科目は下表の内容には一致しないものもありますが、参考にして受験スタートポイントを決めてください。

得点率 受験勉強スタートポイント 得点率の説明
65%以上 受験応用問題 高校完成レベル
さらに高度な知識を習得しながら大学受験用の難易度の高い問題にチャレンジできるレベル
55~64% 大学共通テスト用問題 ほぼ高校完成レベル
知識を固め大学共通テスト対応の問題から演習するレベル
45~54% 高校2年生 高校基礎完成レベル
高校2年の教科書・参考書から学習するレベル
30~44% 高校1年生 中学完成レベル
高校1年の教科書・参考書から学習するレベル
29%以下 中学生 中学基礎レベル
中学の履修内容から学習するレベル

苦手科目に重点を置いた計画を立てる

各科目のスタートポイントが決まったら、そこから学習を開始する計画を立ててください。

もし、国公立大学や有名私立大学を目指すのであれば、
夏休みの終わりまでには、苦手科目の大学共通テスト得点率を55%(ほぼ高校完成レベル)ぐらいにする計画を立て、受験勉強をスタートさせてください。

これが達成できれば、秋以降の受験勉強も精神的に楽に進めることができるでしょう。

多くの受験生は、得意な科目を伸ばすことに力を注ぐ傾向にあり、苦手な教科の学習には目をつぶりがちですが、
受験においては、苦手教科の学習が最重要になります。

理由は簡単です。

例えば、志望校に必要な大学共通テストの得点率が80%だとした場合、得意科目は、最高でも100%以上にはできませんので、最大で20%しか貯金できません。苦手教科が60%を下回った場合、その貯金は吹き飛んでしまいます。

要求される得点率が高ければ高い大学ほど、苦手科目は得意科目の足を引っ張ります。

得意科目を伸ばすことも重要ですが、苦手科目の底上げに最も時間をかける計画を立案ください。