■ティーチング(教えること)とコーチング
ティーチングとコーチングとの違いは、強制的か自発的かの違いになります。
「こうすればうまくいきます」と答えを教えるのがティーチングで、
「どうしたらうまくいくと思いますか?」と問いかけ考えてもらうことがコーチングになります。
このように、コーチングとは、
コーチを受ける人の「潜在能力」を引き出すサポートを、さまざまなコミュニケーション手法を用いて行うことです。
一般の学校や塾では、ティーチングが主な業務です。
しかし、
大学進学を目指し、将来、知的な職業に就くことを望む学生にとって必要なのは、
「答えや解き方を教えられる」ことではなく、
「さまざまな問題を自力で解く能力の開発」です。
なぜなら、大学や社会では、自ら考え、答えを引き出すことができる「学生」や「人材」を求めているからです。
■ティーチングは受験には、逆効果?
中学生3年生ぐらいから高校生、さらに大学受験に必要とされる学習上の能力には、
理解力、記憶力、計算力、読解力、論理力、思考力、表現力、類推力、抽象化力、パターン認識力、概念化能力、
などがあります。
これらの能力は、「自転車の運転の能力」と同じで、
ヒントを与えたり、サポートすることはできますが、人がら人へ伝えることができないものです。
「自転車の運転」は、いくら人から教えられても、本人が乗る練習をしない限り、乗れるようになれません。
本人が自転車に乗る練習を繰り返してはじめて、うまく乗れるようになります。
上述した大学受験に必要な能力も、
学生本人が、その能力を自ら繰り返し何度も使い、できるようになって達成感を味わう とともに、
ときには失敗を経験し挫折を味わい、その失敗からより良いやり方を学ぶ といった、
感情を伴った深いレベルでの刺激を脳に与えなければ十分な伸びは期待できません。
そのためには自己学習の充分な時間を確保する必要があります。
残念なことですが、
ティーチング(教えること)をすればするほど、その学生の能力向上の貴重な時間をうばってしまう
という皮肉な結果になってしまいます。
特に学習塾では、学校で一通りの教科の履修を行っているわけですから、
理解できていないところをティーチングする程度にとどめ、
あとは能力強化のポイントを学生と共有し精神的な支えとなり、
復習・演習をサポートしながら繰り返し行ってもらい、
志望校合格に必要な能力を向上させていく、
という考えが必要であると考えます。